今回は関係代名詞の that についてお伝えします。
関係詞には関係代名詞と関係副詞があります。
最初に関係代名詞と関係副詞の違いを理解したうえで、個々の使い方を確認しましょう。
まずは、関係詞、関係代名詞、関係副詞とは何かを確認しましょう。
(1)関係詞
★関係詞には、関係代名詞と関係副詞があります。
★関係詞は等位接続詞 の役割を持っているため、直前の*名詞(先行詞と呼ばれる)と、直後の節(関係詞節と呼ばれる)をつなぐことができます。
*先行詞が名詞一語ではなく、句や節のこともあります(Lesson 23 Unit 9)。
★関係詞節は「黄色いセーターを着た少年(~の…(名詞))」のように、後ろから名詞に説明を加えるときに使われます。
★関係詞節は名詞を修飾するため、形容詞節と考えることができます。
等位接続詞について:
「語と語」「句と句」「節と節」などを対等な関係で結びます。
and / but / or などがあります。
等位接続詞についてはこちら↓を参考にしてください。
(2)関係代名詞
★関係代名詞は等位接続詞と代名詞の働きを併せ持っています。
★関係代名詞は関係詞節の中での役割によって主格、目的格、所有格を使い分けます。
代名詞について:
名詞の代わりに使われ、主語、目的語、補語などの文の要素になります。
「代名詞の所有格+名詞」が文の主語、目的語、補語などの文の要素になります。
代名詞についてはこちら↓を参考にしてください。
(3)関係副詞
★関係副詞は等位接続詞と副詞の働きを併せ持っています。
★関係副詞は関係詞節の中で副詞の役割をします。
★関係副詞は where、when、why、how の4種類で、先行詞によって使い分けます。
副詞について:
動詞、形容詞、副詞、文全体などを修飾します。
修飾語として使われ、文の要素にはなりません。
つまり、副詞がなくても文は成立します。
副詞についてはこちら↓を参考にしてください。
関係詞を選ぶ際の考え方
1.2つの節があるとき
2つの節があるときは、接続詞が必要。
接続詞の役割を持つ関係詞も選択可能。
2.関係代名詞+不完全な文
関係代名詞の後には、主語や目的語が欠けた不完全な文が続いています。
(関係詞節全体で完全な文となる)
関係代名詞は欠けている要素を補います。
主語が欠けていれば主格。
目的語が欠けていれば目的格。(目的格は省略可能)
「所有格+名詞」の所有格が欠けていれば所有格。
「所有格+名詞」は関係詞節の主語や目的語として使われます。
関係代名詞の格:
代名詞と同じように、関係代名詞にも格があります。
先行詞(関係詞節が修飾する名詞など)によって次のように使い分けます。
人 ― 主格(Lesson 23 Unit 1):who / that(Lesson 23 Unit 4)
*関係詞節中の動詞は、先行詞の人称と数に一致させます。
人 ー 目的格(Lesson 23 Unit 2 & 3):*who(m) / that(Lesson 23 Unit 4)
*口語では目的格にwhoも使われます
人以外 ー 主格(Lesson 23 Unit 1):which / that(Lesson 23 Unit 4)
人以外 ー 目的格(Lesson 23 Unit 2 & 3):which / that(Lesson 23 Unit 4)
人でも人以外でも ー 所有格(Lesson 23 Unit 5):whose
★関係代名詞の what (Lesson 23 Unit 7) は先行詞を含んでいます。
その他の関係詞節は原則的に先行詞を修飾する形容詞の役割をしますが、what を含む関係詞節は「~すること・もの」という意味で、名詞の役割をします。
what は関係詞節の、主語、補語、目的語として使われます。
補足
接続詞の that との違いに注意しましょう。
名詞の後に that 節が続き、名詞の内容を説明することがあります。この that を同格のthat と呼びます。
例)We were surprised at the news that they got married.
私達は彼らが結婚したという知らせに驚きました。
★that 節が the news の内容を説明しています。
注意)
関係代名詞の that が導く節は主語や目的語などが欠けている不完全な文ですが、同格の that が導く節は何も欠けていない完全な文です。
こちら↓も参考にしてください。
3.関係副詞+完全な文
関係副詞の後には、必要な文の要素が全てそろっている完全な文が続いています。
先行詞によって次のように使い分けます。
場所を表す語 ― where(Lesson 24 Unit 1)
時を表す語 ― when(Lesson 24 Unit 2)
reason(s) ― why(Lesson 24 Unit 3) *どちらかだけを使うことも多い。
なし ― how(Lesson 24 Unit 4) *方法を表す。how の代わりに the way を使うこともある
4. コンマなしの限定用法とコンマありの非限定用法(Lesson 23 Unit 8 & Lesson 24 Unit 5):
限定用法:
「~の男性」「~のレストラン」のように、たくさんの男性やレストランの中から先行詞を限定する場合はコンマなし。
非限定用法:
限定するのではなく、補足情報として関係詞節を続ける場合は関係詞の前にコンマが必要。
先行詞が特定の人やものの時には、既に限定されているため、限定用法ではなくコンマをつけた非限定用法で表します。
2つの違い:
★限定用法と非限定用法は、他にもいる[ある]のか、その人[それ]しか(い)ないのかが違います。
★他にもいる[ある]中で、「関係詞節で説明されている特徴を持つ~」と限定するのなら限定用法(コンマなし)、一人[ひとる]しか(い)ない人や事柄を補足的に説明するのなら非限定用法(コンマあり)です。
今回は that についてお伝えします。
関係代名詞 that は次のような特徴があります。
(1) 先行詞について
「人」の場合も「人以外」の場合も that を使うことができます。
ただし、「人」が先行詞の場合は who(m) が好まれます。
(2) 格について
主格としても目的格としても that を使うことができますが、Unit 5 でお伝えする所有格の用法はありません。
ただし、Unit 3でもお伝えしたように、原則的に前置詞を関係代名詞の直前に置く場合はthat は使いません。
例)
○ by whom …
✖ by that ….
また、原則的にUnit 8 でお伝えする非制限用法でも that を使いません。
(3) that が好んで用いられる場合
例文と共に確認しましょう。
1.先行詞に次のような語句が付き、特定のものを指す場合
注)ただし、人が先行詞のときは、that ではなくwho(m) が使われることが多いです。
the first などの序数
the + 最上級
the only
the same
1. This is the most beautiful sunset that I have ever seen.
これは私がこれまで見たなかで、最も綺麗な夕焼けです。
★関係詞の直後に〈S+V〉が続き、他動詞 see の目的語が欠けています。
→関係代名詞は関係詞節の目的語の役割
★本来目的語は動詞の後に続きますが、関係代名詞は関係詞節の先頭に置かれます。
(SVOではなく、OSVの順になります。)
★先行詞 the most beautiful sunset は「人以外」
→関係代名詞は「人」を表す目的格の which[that] が使われます。
★先行詞に最上級が使われているため、that が好まれます。
★目的格は省略可能です。
★関係詞節[that I have ever seen] が、直前の the most beautiful sunset(=先行詞)の説明をし、どんな夕焼けか限定しています。
ever について
通常 「これまでに」という意味の ever は疑問文で使われます。
肯定文では before を使いますが、関係代名詞節で最上級を使い「これまで…の中で一番~」という意味を表すときは肯定文でも ever が使われます。
こちら↓も参考にしてください。
最上級については、こちら↓を参考にしてください。
2.先行詞に次のような、主に「すべて」「まったく~ない」という意味を表す語句が使われる場合
注)ただし、人が先行詞のときは、that ではなくwho(m) が使われることが多いです。
all / every / any / no / everything / anything / nothing / little / much など
2. He ate all the cookies that his mother baked.
彼は彼のお母さんが焼いたすべてのクッキーを食べました。
★関係詞の直後に〈S+V〉が続き、他動詞 bake の目的語が欠けています。
→関係代名詞は関係詞節の目的語の役割
★本来目的語は動詞の後に続きますが、関係代名詞は関係詞節の先頭に置かれます。
(SVOではなく、OSVの順になります。)
★先行詞 all the cookies は「人以外」
→関係代名詞は「人以外」を表す目的格の which[that] が使われます。
★先行詞に all が使われているため、that が好まれます。
★目的格は省略可能です。
★関係詞節[that his mother baked] が、直前の all the cookies(=先行詞)の説明をし、どんなクッキーか限定しています。
定冠詞 the の位置 について
通常 〈冠詞(+副詞)(+形容詞)+名詞〉の語順ですが、all のように形容詞が冠詞の前に置かれる場合があります。
詳しくはこちら↓を参考にしてください。
3. Is there anything that I can do for you?
あなたのために私ができることが何かありますか。
★関係詞の直後に〈S+V〉が続き、他動詞 do の目的語が欠けています。
→関係代名詞は関係詞節の目的語の役割
★本来目的語は動詞の後に続きますが、関係代名詞は関係詞節の先頭に置かれます。
(SVOではなく、OSVの順になります。)
★先行詞 anything は「人以外」
→関係代名詞は「人以外」を表す目的格の which[that] が使われます。
★先行詞に anything が使われているため、that が好まれます。
★目的格は省略可能です。
★関係詞節[that I can do for you] が、直前の anything(=先行詞)の説明をし、どんなことか限定しています。
3.先行詞が「人」と「人以外」の両方を含む場合
4. Look at a boy and a dog that are running in the park.
公園で走っている少年と犬を見て。
★関係詞の直後に述語動詞が続いており、主語が欠けています。
→関係代名詞は関係詞節の主語の役割
★先行詞 a boy and a dog は「人」と「人以外」の両方
→関係代名詞は that が好まれます。
★関係詞節[that are running in the park] が、直前の a boy and a dog(=先行詞)の説明をし、どんな少年と犬か限定しています。
4.疑問詞 whoが先行詞になる場合
5. Who that knows me can imagine that I am a writer now?
私を知っている誰が、今私が作家であると想像できるでしょうか。
★関係詞の直後に述語動詞が続いており、主語が欠けています。
→関係代名詞は関係詞節の主語の役割
★先行詞 が who
→関係代名詞は「人」を表す主格の who[that] が使われます。
★Who who … では言いにくいため、関係代名詞は that が好まれます。
★関係詞節[that knows me] が、直前の who(=先行詞)の説明をし、どんな人か限定しています。
問題
英語で言いましょう。
1. これは私がこれまで見たなかで、最も綺麗な夕焼けです。
2. 彼は彼のお母さんが焼いたすべてのクッキーを食べました。
3. あなたのために私ができることが何かありますか。
4. 公園で走っている少年と犬を見て。
5. 私を知っている誰が、今私が作家であると想像できるでしょうか。
こちら↓も参考にしてください。
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