今回は仮定法についてお伝えします。
まずは「法」とは何かについて確認しましょう。
「法」とは
話者が「自分が話す内容についてどのように思っているか」を示す動詞の形を「法」と呼びます。
直説法、仮定法、命令法の3つがあり、違いは次の通りです。
1.直説法
話者が「事実だ」と考えている内容を述べる際に用いられます。
多くの文は直説法です。
2.仮定法
話者が「事実ではない」「実現の可能性はほぼない」と考えている内容を述べる際に用いられます。
3.命令法
話者の「命令や要求」などを述べる際に用いられます。
文の種類 (大きく分けて、平叙文、疑問文、命令文、感嘆文の4種類) の一つとして考えられるときは、「命令文」と呼ばれます。
Lesson 27では仮定法について説明します。
ここ大事!
仮定法では、「現実ではない」と考えていることを、時制を一つ前にずらすことで表します。
丁寧な表現として使われることもあります。
話者の判断なので、同じ内容でも人によって直説法か仮定法かが違うこともあります。
話者があり得ることだと思えば直説法で、ほぼあり得ないことだと思えば仮定法で表します。
各ユニットで説明するのは次の通りです。
Unit 1
直説法と仮定法の違い
Unit 2
現在の仮定(仮定法過去)
「もし今~なら、(今)…だろうに」
Unit 3
過去の仮定(仮定法過去完了)
「もしあの時~だったら、(あの時)…だったろうに」
Unit 4
if節と主節で時制が異なる場合の仮定
if節は過去の仮定
主節は現在の仮定
「もしあの時~だったら、今…だろうに」
Unit 5
現在の事実に反したり、実現できそうもないことへの願望
if 節はなく、主節のみ
「今~であればいいのに」
Unit 6
過去における事実に反することや、過去において実現しなかったことへの願望
if 節はなく、主節のみ
「あの時~だったらよかったのに」
Unit 8
未来のことについて「仮に~なら」と仮定
実現の可能性がほぼない場合だけでなく、可能性がある場合の仮定を表すこともある
Unit 9
as if を使った仮定法
「まるで~のように」
「まるで~したかのように」
Unit 10
if を使わない仮定法
Unit 6 では過去における事実に反することや、過去において実現しなかったことへの願望を wish を使って伝える仮定について説明します。
これまでは「もし~なら[だったら]、…(だった) のに」のように2つの節で成り立つ文についてお伝えしました。
Unit 6ではそのうち「もし~(あのとき)だったら」の節だけを「(あのとき)~だったらなあ」という願望を表す文についてお伝えします。
動詞の形は次の通りです。
S wish S' + 過去完了形 ~.
(あのとき)~だったらよかったのに
例文で確認しましょう。
1. I wish I had not met him at the party.
彼にパーティーで会わなければよかったのに。
(実際は会った)
「昔~だったらいいのに」と今思っている
実際は会ったので仮定法で表す
過去の事実と違うことを過去完了形で表す
過去形から大過去(過去完了形)へ時制を一つずらす
大過去については、こちら↓を参考にしてください。
ここ大事!
wish の後に節(SVを含む2語以上) を続ける場合、通例仮定法を続けて実現しないことへの願望を表します。
wish はいつも仮定法を表すわけではなく、次のような場合は現実にあり得ることとして直説法で表します。
① 不定詞を伴う場合
He wished to see you again.
彼がまたあなたに会いたがっていました。
★ wish to do は want to do より丁寧な表現
② 目的語に名詞を続けて、第3文型(SVO)や第4文型(SVOO)で使われる場合
He wished good health to you. (第3文型)
=He wished you good health. (第4文型)
彼はあなたの健康を祈りました。
2. I wish I had studied harder.
もっと一生懸命勉強していたらなあ。
(実際は勉強しなかった)
「昔~だったらいいのに」と今思っている
実際は一生懸命勉強しなかったので仮定法で表す
過去の事実と違うことを過去完了形で表す
過去形から大過去(過去完了形)へ時制を一つずらす
3. I wish I could have gone with you.
あなたと一緒に行ければよかったのに。
(実際には行けなかった)
「昔~だったらいいのに」と今思っている
実際は行けなかったので仮定法で表す
このように、仮定法で謝罪や残念な気持ちを表すことができます。
過去の事実と違うことを〈助動詞+have+過去分詞形〉で表す
助動詞の後ろに〈have+過去分詞形〉を続けて過去を表しますが、時制を一つ後ろにずらす際に〈have+過去分詞形〉の形を使うことは同じですね。
こちら↓も参考にしてください。
問題
英語で言いましょう。
1. (私は)彼にパーティーで会わなければよかったのに。
(実際は会った)
2. もっと一生懸命勉強していたらなあ。
(実際は勉強しなかった)
3. あなたと一緒に行ければよかったのに。
(実際には行けなかった)
こちら↓も参考にしてください。
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