今回は不定詞の名詞的用法についてお伝えします。
まずは不定詞について確認しておきましょう。
不定詞〈to + 動詞の原形〉とは:
「~詞」と呼ばれますが、単語の意味や役割によって分けられる10の品詞には含まれません。
動詞の働き方の一つで、文中で名詞、形容詞、副詞の役割をします。
このように品詞が一つに定まらないことから、不定詞と名付けられたともいわれています。
ここ大事!
不定詞は動詞の機能や性質も持っているため、次のような場合もあります。
1.目的語や補語、修飾語を後に続ける
2.文中の主語や目的語とは別に、不定詞の意味上の主語や目的語がある
3.進行形、受動態、完了形の形がある
今回は名詞的用法についてお伝えします。
不定詞の名詞的用法とは:
不定詞を含む語句が名詞の働きをし、「~すること」という意味を表します。
文中で、主語、補語、目的語として使われます。
なお、不定詞を含む語句は単数扱いです。
ここ大事!
名詞は前置詞の目的語になりますが、不定詞の名詞的用法は前置詞の後に続けることはできません。
なお、同じように動詞から名詞に変化した動名詞は、前置詞の後に続けることができます。
不定詞の名詞的用法とLesson 20で説明する動名詞は、共通点が多いですが異なる点もあります。
2つの共通点と違いについては、Lesson 21 で説明いたします。
主語になる場合:
1. To speak English is necessary for all the employees of this company. (SVC)
この会社の全ての従業員にとって、英語を話すことが必要です。
2. It is important to practice the piano every day. (SVC)
毎日ピアノの練習をすることが大切です。
ここ大事!
主語が長くなると理解しにくいため、不定詞が主語になる場合は形式主語の it を使い、真主語(不定詞を含む語句)を最後に置くのが一般的です。
1. のように、不定詞が導く主語が比較的短い場合や、リズムがよい場合などは、形式主語を使わず、そのまま不定詞を含む語句を主語として文頭に置くこともあります。
3. It is difficult for me to read this English book without a dictionary. (SVC)
私にとって、辞書なしでこの英語の本を読むことは難しいです。
ここ大事!
一般論ではなく、「その人にとって…だ」と表すときは、3. のような〈for+人〉、または 4. のような〈of+人〉を置きます。
for を使うのは、補語に、以下のような、人を主語にできない、「人にとって…だ」という意味の形容詞が使われるときです。
convenient 便利な
inconvenient 不便な
difficult / hard 難しい
easy 容易な
necessary 必要な
possible 可能な
impossible 不可能な
interesting 興味深い
useful 役に立つ
useless 役に立たない
probable ありそうな
など
of を使うのは、補語に、以下のような、人を主語にできる、「人が…だ」という意味の形容詞が使われるときです。
brave 勇敢な
careless 不注意な
clever / wise 賢い
honest 正直な
kind 親切な
nice すてきな
polite 礼儀正しい
selfish わがままな
rude 無礼な
など
4. It was kind of him to carry my bag. (SVC)
彼は親切にも私のカバンを運んでくれました。
(彼が私のカバンを運んでくれたことは親切でした。)
補語になる場合:
5. My dream is to be a doctor. (SVC)
私の夢は医者になることです。
目的語になる場合:
6. I want to go to Italy again. (SVO)
私は、もう一度イタリアへ行きたいです。
(私は、もう一度イタリアへ行くことが欲しいです。)
7. I found it difficult for me to read this English book without a dictionary. (SVOC)
私は、私にとって辞書なしでこの本を読むことが難しいとわかりました。
ここ大事!
目的語が長くなると文構造が理解しにくいため、不定詞が目的語になる場合は形式目的語の it を使い、真目的語(不定詞を含む語句)を最後に置くのが一般的です。
ここ大事!
「~すること」のように動詞が名詞に変化した語を目的語にする場合は、不定詞か動名詞かのどちらかを使います。
述語動詞によって、目的語に不定詞を続けるか動名詞を続けるかが決まっています。
詳しくは Lesson 21 で説明いたします。
代不定詞について:
同じ動詞を繰り返すのを防ぐため、to不定詞の toだけを用いることがあります。
これを代不定詞といいます。
例)You can call me if you want to.
=You can call me if you want to call me.
問題
英語でいいましょう。
1. この会社の全ての従業員にとって、英語を話すことが必要です。
2. 毎日ピアノの練習をすることが大切です。
3. 私にとって、辞書なしでこの英語の本を読むことは難しいです。
4. 彼は親切にも私のカバンを運んでくれました。
5. 私の夢は医者になることです。
6. 私は、もう一度イタリアへ行きたいです。
7. 私は、私にとって辞書なしでこの本を読むことが難しいとわかりました。
こちら↓も参考にしてください。
前の Lesson はこちら↓
次の記事はこちら↓
こちら↓も参考にしてください。